就活の軸がない人向け。最低限これだけは守ってほしいこと
就活をしていると、よくこう言われます。
「あなたの就活の軸は何ですか」
「会社選びで大事にしていることは何ですか」
「なぜその業界なのですか」
でも正直、最初からそんなにはっきりしている人ばかりではありません。
むしろ、軸がないまま就活を始める人の方が普通です。
働いたこともないのに、
自分に何が向いていて、
どんな会社が合っていて、
何を大事にすべきかを最初から言い切れ、という方が無理があります。
なので、就活の軸がないこと自体は気にしなくてよいです。
ただし、何も考えなくていいわけではありません。
軸がない人ほど、最低限守った方がいいことがあります。
それは、若手が割を食う構造の会社を避けることです。
理想の会社を最初から言い当てるのは難しいです。
でも、危ない会社をある程度避けることはできます。
この記事では、就活の軸がない人向けに、最低限これだけは守ってほしいことを整理します。
就活の軸は、最初から足し算で作らなくていい
就活の軸というと、多くの人はこう考えます。
- 何がやりたいか
- どんな業界に行きたいか
- どんな社会課題を解きたいか
- どんな働き方をしたいか
- 将来どうなりたいか
もちろん、これらをはっきり言えるならそれに越したことはありません。
ただ、学生の段階でここまで明確に持てる人は多くありません。
だから無理に足し算で考えなくていいです。
「これを実現したい」
「こういう会社が理想だ」
という形で軸を作れなくても問題ありません。
その代わり、最初は引き算で考えた方が現実的です。
つまり、
- これは避けたい
- この構造は危ない
- この会社の入り方は損をしやすい
- こういう環境では消耗しそう
を先に決めるということです。
就活の最初の目的は、満点の会社を当てることではありません。
変な会社を引かないことです。
まず守ってほしいのは、若手が割を食う構造の会社に入らないこと
就活の軸がない人に、まず見てほしいのはここです。
その会社は、若手が頑張っても報われにくい構造になっていないか。
これを見てください。
会社選びでよくある失敗は、仕事内容や雰囲気だけを見てしまうことです。
でも実際には、若手が損をするかどうかは、もっと構造的な部分で決まります。
たとえば、こういう会社は注意が必要です。
- 若手を育てる前提より、現場の人手として見ている
- 評価や昇給の仕組みが曖昧
- ルールが人によって変わる
- 制度変更の影響を若手が受けやすい
- 新卒に時間をかけて育てる思想が薄い
- 会社都合のしわ寄せが、下の層に落ちやすい
こういう会社に入ると、本人の努力と、得られる見返りが噛み合いにくいです。
特に新卒は、まだ市場で高く売れる実績も、社内で強い立場もありません。
だからこそ、構造が悪い会社ほど割を食いやすいです。
軸がないならなおさら、まずは
若手を雑に扱う会社ではないか
を見た方がいいです。
評価と昇給がブラックボックスすぎる会社は避けた方がいい
これはかなり大事です。
学生のうちは、つい仕事内容や知名度に目が行きます。
でも入社後の満足度を大きく左右するのは、実は評価と昇給の仕組みです。
- 何をしたら上がるのかが分からない
- 上司の主観が強すぎる
- 相対評価で配分される
- 昇給原資が不透明
- 説明のないまま差がつく
こういう会社は、若手ほどきついです。
なぜなら若手は、まだ成果の見せ方も上手くなく、社内政治にも強くないからです。
その状態でルールが不透明だと、納得感なく消耗しやすいです。
もちろん、就活の段階で制度の細部まで分かることは少ないです。
ただ、少なくとも
- 評価制度の説明があるか
- 等級や昇給の考え方が言語化されているか
- 面接や説明会で聞いたときにごまかされないか
くらいは見た方がいいです。
若手にとってよい会社とは、単に優しい会社ではなく、
努力と見返りの関係がある程度読める会社です。
体制の変動が大きい会社、特に不安定なグループ会社は注意した方がいい
これもかなり重要です。
会社には、制度や給与の考え方として、大きく分けて2つのモデルがあります。
ひとつは、最初はそこまで高くなくても、長くいることで昇給や処遇を回収しやすい後払い型です。
もうひとつは、入社時点や中途採用時点で市場価格をある程度反映する先払い型です。
どちらが絶対によい、という話ではありません。
問題は、会社の途中でこのバランスが崩れることです。
たとえば、新卒には後払い型の期待を持たせておきながら、途中から会社全体が先払い型っぽくなるとどうなるか。
- 中途採用の給与が高くなる
- 既存若手の昇給は渋い
- でも新卒には「長くいれば報われる」と思わせたまま
- 結果として、若手だけが待ち損になる
こういうことが起こりえます。
特に、体制変更が多い会社や、グループ内での位置づけが揺れやすい会社は要注意です。
- 組織再編が多い
- 親会社の方針変更に影響される
- 採用方針が変わりやすい
- 人事制度が統一されていない
- 会社の立ち位置そのものが不安定
こういう会社では、しわ寄せが若手に来やすいです。
会社の都合でゲームのルールが変わると、一番弱い立場の人が損をします。
新卒はまさにそこに当たりやすいです。
なので、就活で軸がない人ほど、
制度や体制が安定していそうか
は気にした方がいいです。
「若手を育てる会社か」より「若手が割を食わない構造か」を見た方がいい
就活ではよく、
- 若手が成長できます
- 若いうちから挑戦できます
- 早くから裁量があります
- 手を挙げれば何でもできます
といった言葉が出てきます。
ただ、こういう言葉はかなり曖昧です。
本当に見るべきなのは、若手育成の美しい言葉ではありません。
若手が不利になりにくい構造かどうかです。
たとえば、若手にとって危ない会社はこんな会社です。
- 人手不足を裁量と言い換えている
- 教育の不足を挑戦と言い換えている
- 丸投げを成長機会と言い換えている
- 制度未整備を柔軟性と言い換えている
こういう会社は、言葉は前向きでも、中身は雑なことが多いです。
逆に、地味でもまともな会社は、
- 任せる範囲が整理されている
- 教える人がいる
- 評価の前提が共有されている
- 配属の考え方がある
- 若手にどんな経験を積ませるかが見えている
という構造を持っています。
就活では、派手な言葉に引っ張られやすいです。
でも大事なのは、会社のテンションではなく構造です。
次のキャリアで説明しやすい会社・仕事かは見ておいた方がいい
これも最低限の防御として大事です。
就活では、どうしても「まず1社目に入ること」に意識が向きます。
でも実際には、最初の会社でキャリアが終わるとは限りません。
だからこそ、その会社での経験が次のキャリアで説明しやすいかは見ておいた方がいいです。
ここで大事なのは、単なる知名度だけではありません。
もちろん、社格やブランドがあるに越したことはないです。
それだけで一定の説明コストは下がります。
ただ、知名度がそこまで高くなくても、次のような会社ならまだ説明しやすいです。
- 業界内での立ち位置が分かりやすい
- 何をしている会社か説明しやすい
- その会社の事業が市場で理解されやすい
- その中で自分が担う役割が想像しやすい
逆に危ないのは、会社名も仕事内容も、外から見て価値が伝わりにくいケースです。
たとえば、
- 何をしている会社か一言で説明しにくい
- 業界内での位置づけが曖昧
- 自分の仕事が組織の中でどう効いていたか説明しづらい
- 成果が作業単位に閉じていて、影響範囲が語りにくい
こういう経験は、後で職務経歴として書くときに弱くなりやすいです。
仕事内容は、ハードスキルだけでなくソフトスキルも証明しやすいかを見た方がいい
これもかなり大事です。
学生のうちは、つい「何を学べるか」をハードスキル中心で考えがちです。
- プログラミングができる
- 会計知識がつく
- マーケティングが学べる
- 営業力がつく
もちろん大事です。
ただ、次のキャリアで効いてくるのは、それだけではありません。
実際には、
- どんな人と調整したか
- どんな課題を整理したか
- どんな意思決定に関わったか
- 何を改善したか
- どう周囲を動かしたか
のような、ソフトスキル面もかなり見られます。
なのに、仕事によってはここが書きづらいものがあります。
たとえば、自分の担当範囲が狭すぎたり、影響範囲が閉じすぎたりすると、
- とにかく作業しました
- 与えられたことをやりました
- 一部工程だけ担当しました
で終わりやすいです。
これだと、頑張っていても、次に伝わる形に変換しにくいです。
だから就活では、
何ができるようになるか
だけでなく、
それを他人に説明できる経験として積めそうか
も見た方がいいです。
これはかなり重要です。
その会社の中だけでしか通じない仕事に閉じない方がいい
「市場での選択肢が狭まらないか」という話を、もっと分かりやすく言うとこれです。
その仕事は、その会社の中だけでしか通じないものになっていないか。
ここを見てください。
職種によって差はありますが、一般的には次のような経験は外でも価値が伝わりやすいです。
- 売上や利益に近い
- 顧客価値に近い
- 事業運営に近い
- 組織の意思決定に接続している
- 成果の因果関係を説明しやすい
逆に、会社独自のルールや狭い社内事情に閉じた仕事ばかりだと、外で説明しにくくなります。
もちろん、最初の会社で完璧な市場価値を求める必要はありません。
ただ少なくとも、
そこでの経験が他社でも意味を持ちそうか
くらいは考えておいた方がいいです。
就活の軸がない人ほど、最初はこのくらいの粗さで十分です。
後払い型を取りにいくのか、先払い型で市場に出るのかは考えておいた方がいい
これは少し長期の話ですが、かなり大事です。
会社選びでは、結局どのゲームに乗るかを決める必要があります。
ひとつは、後払い型の会社である程度長く働き、社内で昇給や処遇を積み上げていく道です。
もうひとつは、先払い型の市場に出て、転職や外部評価で年収を上げていく道です。
前者は、たとえば
- 新卒文化が強い
- 社内等級がはっきりしている
- 長く働くと報われやすい
- 内部労働市場が強い
ような会社に向いています。
後者は、たとえば
- 中途市場が強い
- 入社時に市場価格が反映されやすい
- 社外で評価される実績が重要
- 転職による年収上昇が起きやすい
ような世界です。
ここで大事なのは、何となく入らないことです。
後払い型の会社に入るなら、ある程度長くいる前提との相性を見た方がいいですし、
先払い型で戦うなら、外で説明できる経験が積めるかを見た方がいいです。
就活の段階で完璧に決める必要はありません。
ただ、
自分はどちらのゲームに乗ろうとしているのか
だけは、ぼんやりでも考えておいた方がいいです。
何も考えずに入ると、待てば報われると思っていたのに報われない、
逆に市場で勝負すべきだったのに準備が足りない、
ということが起こりやすいです。
就活の軸がない人ほど、理想より事故回避を優先していい
ここまでいろいろ書きましたが、言いたいことはシンプルです。
就活の軸がないなら、無理に夢を作らなくていいです。
「これがやりたい」と言い切れなくても大丈夫です。
その代わり、最低限これだけは守ってほしいです。
- 若手が割を食う構造の会社に入らない
- 評価や昇給が不透明すぎる会社を避ける
- 制度や体制の変動でしわ寄せを受けやすい会社を避ける
- 次のキャリアで説明しやすい会社・仕事を選ぶ
- その会社の中だけに閉じた経験になりすぎないようにする
- 自分が後払い型を取りにいくのか、先払い型で市場に出るのかを少し考える
このくらい守るだけでも、就活の事故率はかなり下がります。
就活は、最初から正解を当てるゲームではありません。
むしろ最初は、変な外れを引かないことの方が大事です。
軸がないことを気にして、無理にきれいな言葉を作らなくていいです。
それよりも、最低限の地雷回避基準を持ってください。
それだけで、十分立派な就活の軸になります。
結論
就活の軸がない人に、まず伝えたいのはこれです。
最初から理想の会社を言語化できなくても大丈夫です。
でも、若手が割を食う構造の会社だけは避けてください。
就活は、足し算で夢を作るところから始めなくていいです。
最初は引き算で構いません。
- こういう会社は避けたい
- こういう構造は危ない
- こういう働き方では消耗しそう
それを言語化できれば、十分です。
軸がない人ほど、まずは
理想探しではなく、事故回避から始めること。
個人的には、それが一番現実的だと思います。
