「都道府県別の平均年収ランキング」は、
調べてみるとさまざまな順位表が存在します。
これは、
使用している公的データの性質が異なるためです。
本記事では、
都道府県別に集計された代表的な公的統計を用いて、
- ① 賃金構造基本統計調査
- ② 就業構造基本調査
の 2パターンの平均年収ランキングを紹介します。
都道府県別 平均年収ランキングを2通りで見る理由
どちらも公的統計ですが、
見ている対象が異なります。
- 賃金構造基本統計調査
→ 事業所(勤務地)ベース - 就業構造基本調査
→ 居住地(住んでいる人)ベース
そのため、
同じ「平均年収ランキング」でも順位が変わります。
パターン①
賃金構造基本統計調査による平均年収ランキング(所定内給与)
データの概要
- 令和6年 賃金構造基本統計調査
- 一般労働者
- 都道府県別
- 所定内給与(月額)
- 単位:千円/月
※ 所定内給与は年収ではありませんが、
都道府県間の賃金水準比較に広く用いられます。
都道府県別 所定内給与ランキング
| 順位 | 都道府県 | 所定内給与(月額・千円) |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 403.7 |
| 2 | 神奈川県 | 355.8 |
| 3 | 大阪府 | 348.0 |
| 4 | 愛知県 | 332.6 |
| 5 | 全国平均 | 330.4 |
| 6 | 京都府 | 323.3 |
| 7 | 埼玉県 | 322.3 |
| 8 | 千葉県 | 320.3 |
| 9 | 兵庫県 | 318.8 |
| 10 | 滋賀県 | 312.9 |
| 11 | 奈良県 | 312.7 |
| 12 | 広島県 | 312.7 |
| 13 | 茨城県 | 312.5 |
| 14 | 三重県 | 309.6 |
| 15 | 静岡県 | 309.4 |
| 16 | 石川県 | 308.4 |
| 17 | 福岡県 | 308.0 |
| 18 | 富山県 | 295.2 |
| 19 | 長野県 | 298.6 |
| 20 | 宮城県 | 298.1 |
| 21 | 山口県 | 298.3 |
| 22 | 徳島県 | 293.0 |
| 23 | 福井県 | 290.9 |
| 24 | 北海道 | 288.5 |
| 25 | 新潟県 | 288.7 |
| 26 | 岐阜県 | 289.3 |
| 27 | 香川県 | 297.2 |
| 28 | 岡山県 | 296.9 |
| 29 | 山梨県 | 304.4 |
| 30 | 群馬県 | 302.5 |
| 31 | 栃木県 | 314.4 |
| 32 | 和歌山県 | 297.3 |
| 33 | 島根県 | 269.3 |
| 34 | 鳥取県 | 269.1 |
| 35 | 岩手県 | 267.0 |
| 36 | 沖縄県 | 266.3 |
| 37 | 鹿児島県 | 273.9 |
| 38 | 高知県 | 273.3 |
| 39 | 山形県 | 272.4 |
| 40 | 愛媛県 | 281.5 |
| 41 | 長崎県 | 278.4 |
| 42 | 佐賀県 | 276.5 |
| 43 | 福島県 | 276.3 |
| 44 | 宮崎県 | 259.8 |
| 45 | 青森県 | 259.9 |
| 46 | 秋田県 | 265.5 |
| 47 | 大分県 | 285.0 |
賃金構造基本統計の特徴
- 東京・神奈川・大阪・愛知が上位
- 大都市圏が強く出る
- **「どこで働くと賃金が高いか」**を示すランキング
パターン②
就業構造基本調査による平均年収ランキング(居住地ベース)
データの概要
- 令和4年 就業構造基本調査
- 居住地ベース
- 年収階級別人数を用いて擬似平均年収を算出
- 単位:万円/年
算出方法(概要)
- 年収階級ごとに代表値を設定
- 代表値 × 人数を合計
- 人数で割り、平均年収を算出
都道府県別 平均年収ランキング(擬似)
| 順位 | 都道府県 | 平均年収(万円) |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 466.4 |
| 2 | 神奈川県 | 421.4 |
| 3 | 千葉県 | 392.2 |
| 4 | 愛知県 | 385.2 |
| 5 | 埼玉県 | 382.7 |
| 6 | 兵庫県 | 374.5 |
| 7 | 大阪府 | 364.6 |
| 8 | 広島県 | 357.2 |
| 9 | 滋賀県 | 355.9 |
| 10 | 三重県 | 354.5 |
| 11 | 奈良県 | 353.8 |
| 12 | 栃木県 | 353.8 |
| 13 | 茨城県 | 353.1 |
| 14 | 静岡県 | 350.9 |
| 15 | 京都府 | 350.3 |
| 16 | 石川県 | 346.1 |
| 17 | 宮城県 | 345.4 |
| 18 | 群馬県 | 341.9 |
| 19 | 富山県 | 341.4 |
| 20 | 福井県 | 341.2 |
| 21 | 香川県 | 339.6 |
| 22 | 福岡県 | 339.4 |
| 23 | 岐阜県 | 338.7 |
| 24 | 北海道 | 337.7 |
| 25 | 山口県 | 337.6 |
| 26 | 山梨県 | 336.8 |
| 27 | 岡山県 | 333.6 |
| 28 | 徳島県 | 330.6 |
| 29 | 長野県 | 329.8 |
| 30 | 福島県 | 329.3 |
| 31 | 愛媛県 | 322.9 |
| 32 | 和歌山県 | 321.8 |
| 33 | 新潟県 | 320.8 |
| 34 | 熊本県 | 320.1 |
| 35 | 島根県 | 320.0 |
| 36 | 大分県 | 318.2 |
| 37 | 山形県 | 315.3 |
| 38 | 佐賀県 | 313.4 |
| 39 | 岩手県 | 309.5 |
| 40 | 鳥取県 | 308.8 |
| 41 | 長崎県 | 308.1 |
| 42 | 高知県 | 307.6 |
| 43 | 宮崎県 | 303.7 |
| 44 | 青森県 | 303.5 |
| 45 | 秋田県 | 301.4 |
| 46 | 鹿児島県 | 297.5 |
| 47 | 沖縄県 | 287.5 |
2つのランキングをどう読むか
- 賃金構造基本統計
→ 働く場所としての年収ランキング - 就業構造基本調査
→ 住んでいる人の平均年収ランキング
この2つを並べることで、
- ベッドタウン県の順位上昇
- 大都市に通勤する構造
- 地域ごとの雇用構造の違い
が、より立体的に見えてきます。
就業構造基本調査による平均年収の算出方法について(補足解説)
ここでは、就業構造基本調査を用いた平均年収ランキングについて、
データの性質と集計方法をもう少し詳しく説明します。
就業構造基本調査とはどのようなデータか
就業構造基本調査は、
総務省が5年ごとに実施している大規模なサンプル調査です。
本記事で使用しているデータは、
**「地域 × 年収階級ごとの人数分布」**という形で公表されています。
特徴は以下のとおりです。
- 年収は レンジ(階級) で区切られている
- 各階級ごとに その年収帯に属する人数(人) が出ている
- 最高階級は 「1500万円以上」 で上限が固定されていない
つまり、
「この都道府県には、
年収300~399万円の人が何人、
400~499万円の人が何人いるか」
という 分布データ になっています。
今回の集計で対象とした人の範囲
本記事では、以下の条件でデータを抽出・集計しています。
- 男女:合算(総数)
- 雇用形態:すべて合算
- 正規
- 非正規
- 自営業
- 家族従業者 などを含む
- 配偶関係:総数
- 年齢:全年齢(総数)
- 地域:都道府県別
つまり、
「その都道府県に住んで働いている人すべて」
を対象にした集計です。
特定の性別や雇用形態に偏らないため、
居住者ベースの平均的な収入力を把握するのに適しています。
階級データから平均年収を作る考え方
就業構造基本調査の年収は
**「300~399万円」**のような階級(レンジ)で公表されています。
そのため、
厳密な平均年収を直接計算することはできません。
そこで一般的に用いられるのが、
階級の代表値を置いて加重平均を取る方法です。
階級の代表値(本記事で使用した値)
本記事では、以下の代表値を使用しています。
- 50万円未満 → 25万円
- 50~99万円 → 75万円
- 100~149万円 → 125万円
- 150~199万円 → 175万円
- 200~249万円 → 225万円
- 250~299万円 → 275万円
- 300~399万円 → 350万円
- 400~499万円 → 450万円
- 500~599万円 → 550万円
- 600~699万円 → 650万円
- 700~799万円 → 750万円
- 800~899万円 → 850万円
- 900~999万円 → 950万円
- 1000~1249万円 → 1125万円
- 1250~1499万円 → 1375万円
- 1500万円以上 → 1750万円(仮定値)
※ 最上位階級は上限がないため、
本記事では控えめな代表値を仮定しています。
平均年収(擬似)の計算方法
計算は以下の手順で行っています。
- 各年収階級の人数に代表値を掛ける
- すべての階級について合計する
- 合計金額を、就業者総数で割る
これにより、
「その都道府県に住んでいる人の擬似的な平均年収」
を算出しています。
この方法で表現できていること
- 年収分布全体を反映した平均像
- 正規・非正規・自営業を含めた実態
- 都道府県間の相対比較
特に、
「住民全体として、どの県が高収入力か」
を見る用途には適しています。
この方法で表現できていないこと(注意点)
一方で、以下の点は表現できていません。
- 階級内の細かな分布(ばらつき)
- 1500万円以上層の正確な平均
- 個人単位での厳密な中央値・平均
そのため、本記事では
**「擬似的な平均年収」**として位置づけています。
なぜこの方法を採用したか
就業構造基本調査は、
居住地ベースで全国を横断的に比較できる、
ほぼ唯一の公的データです。
その特性を活かしつつ、
- 県ごとの年収分布を反映
- シンプルで再現可能
- 比較目的に十分耐える
という理由から、
本記事ではこの方法を採用しています。
この就業構造基本調査による平均年収は、
前半で紹介した 賃金構造基本統計(勤務地ベース) と並べて読むことで、
- 働く場所としての年収
- 住む場所としての年収
という 2つの視点を補完的に理解することができます。
参考:年収以外の視点・生活の豊かさについて
参考情報として、
国土交通省や総務省の統計をもとに、
可処分所得・基礎支出・通勤時間といった軸から
「生活の豊かさ」を整理したデータも存在します。
ただし、これらは
- 総務省「家計調査」や「社会生活基本調査」などを
再集計・加工した二次的な指標であること - 主に **2人以上の世帯(中央世帯)**を前提としており、
単身世帯や若年層の実態が反映されにくいこと - 世帯構成や持ち家率、共働き比率といった要素の影響が大きく、
「平均年収ランキング」とは評価軸が異なること
といった点から、
今回は「都道府県別の平均年収」を扱う記事としては
採用しませんでした。
一方で、
- 可処分所得(手取りとして使えるお金)
- 基礎支出(生活に最低限必要なコスト)
- 通勤時間(時間的な負担)
といった考え方そのものは、
住む場所・働く場所を選ぶ際の視点としては有用です。
年収だけでなく、
「どこで生活すると余裕が残りやすいか」を考える際には、
こうした軸を意識してみるのも一つの方法でしょう。
まとめ
- 都道府県別の平均年収ランキングは
1つの順位表だけでは語れません - どのデータを使うかで順位は変わります
- 本記事では
2つの公的統計による平均年収ランキングを紹介しました
目的に応じて、
どのランキングを参考にするかを選ぶことが重要です。