新卒でコンサルは全然ありです
まず大前提として、新卒でコンサルに行くこと自体は普通にありです。
特に総合コンサルは、その辺のよく分からない会社よりは良いことが多いです。
- 会社の看板がある
- 採用難易度が比較的高く、周囲の水準も高めになりやすい
- 資料作成、論点整理、顧客対応などの基礎スキルが鍛えられやすい
- 転職市場でも説明しやすい
- 若いうちに複数のテーマや業界に触れられる
このあたりは素直に強みです。
なので、この記事は
「新卒でコンサルはやめとけ」
という雑な話ではありません。
言いたいのはもっと限定的です。
特に総合コンサルを、やりたいことがないからとりあえず行く先として選ぶのは、思ったほど安全ではない
ということです。
なぜ「とりあえず総合コンサル」は危ういのか
理由は単純です。
新卒で総合コンサルに入っても、結局はどこかの案件にアサインされます。
そして数年後に見られるのは、会社名だけではなく、そこで何をやっていたかです。
つまり実態としては、
- どの業界の案件に入るか
- どのテーマを担当するか
- どこまで深く入れるか
- それが自分の市場価値として説明しやすいか
で、数年後の見え方がかなり変わります。
ここが重要です。
新卒で総合コンサルに行くと、一見すると選択肢を保留できるように見えます。
ですが実際には、保留しているようで、案件アサインという形でキャリアの方向が決まり始めることが多いです。
そしてそのアサインは、自分で完全に選べるわけではありません。
要するに、
「まだ決めたくないからコンサルに行く」
という発想は、実は
「どの案件に乗るか分からないガチャに一回預ける」
という意味でもあるわけです。
モラトリアムとしての選択がもったいない理由
新卒で進路を決めるとき、やりたいことがまだ明確ではない人は多いです。
それ自体は全く不自然ではありません。
ただ、その状態で総合コンサルを選ぶと、
「とりあえず難関っぽい会社に入っておけば後で考えられる」
と感じやすい一方で、実際には後で見られるのはかなり具体的な実務です。
たとえば数年後に転職するとなったとき、見られるのは
- PMO中心だったのか
- IT導入支援だったのか
- 業務改善だったのか
- 特定業界向けの支援経験があるのか
- 上流の企画に近かったのか
- 実質的に人月管理に近かったのか
といった話です。
つまり、肩書きとしてはコンサルでも、中身はかなり分かれます。
その結果、最初は「選択肢を広げるつもり」で入ったのに、
数年後には結局、
- この業界のこの辺の案件をやってきた人
- この種類の支援をしてきた人
として見られるようになります。
それなら、最初から事業会社で
- どの産業に行くか
- どの商材に関わるか
- どの機能で経験を積むか
を選んだ方が、少なくとも産業レベルのガチャは減らせる場合があります。
ここが、モラトリアムとしての総合コンサルが必ずしも得ではない理由です。
総合コンサルは「何も決めなくていい場所」ではない
むしろ逆で、総合コンサルは、最低限の軸がないと流されやすい場所です。
例えば、
- どの業界に寄せたいか
- どんなテーマなら積んでよいか
- 逆に何を避けたいか
- 何年で出る前提なのか
- 次にどこへ行きたいのか
こうした意識がある人とない人では、同じ会社に入っても数年後の差が大きくなりやすいです。
軸がある人は、案件や社内での立ち回りを通じて、自分の経歴をある程度編集できます。
一方で軸がない人は、案件に乗った結果の履歴を後から説明するしかなくなります。
その意味で、総合コンサルは「迷っている人の避難先」ではなく、
迷っていても自分で取りに行ける人向けの環境だと思った方がいいです。
では事業会社の方がいいのか
ここはかなりケースバイケースです。
ただ、少なくとも次のタイプの人は、最初から事業会社を真面目に検討した方がよいと思います。
1. 特定の産業に興味がある人
例えば、
- 金融
- 決済
- SaaS
- 広告
- メーカー
- 商社
- インフラ
- 通信
- 人材
など、ある程度興味のある産業が見えているなら、その業界に最初から入る合理性は高いです。
業界知識、人脈、商流理解、収益構造への解像度は、やはりその産業の中で積む方が深くなりやすいからです。
コンサルは複数業界を見られるのが強みですが、
逆に言えば、一つの産業に腰を据えて厚みを出すには遠回りになることもあります。
2. 自分で事業を持つ側に回りたい人
事業会社では、
- 自社商品やサービスを持つ
- 中長期でKPIを見る
- 継続的に改善する
- 自分たちの意思決定が事業に返ってくる
という経験が積みやすいです。
コンサルはどうしても支援側なので、
自分で事業責任を持ちたい人、プロダクトやPLに近いところへ行きたい人には、最初から事業会社の方が合うことがあります。
3. 案件ガチャより産業ガチャを減らしたい人
コンサルは案件次第で経験がかなり変わります。
一方で事業会社は、少なくとも産業や収益構造は最初からある程度見えています。
もちろん部署配属ガチャはあります。
ですが、それでも
- 自分はこの業界にいる
- この商材に関わっている
- この収益モデルの会社にいる
という軸は持ちやすいです。
「何をやるかは多少ぶれても、どの世界で経験を積むかは固定したい」
という人には、事業会社の方が合いやすいです。
逆に総合コンサルが向いている人
ここまで読むと総合コンサルが微妙に見えるかもしれませんが、そんなことはありません。
向いている人にはかなり強い選択肢です。
1. 高い負荷の中で基礎体力を一気につけたい人
論点整理、ドキュメンテーション、会議運営、対人折衝、上司や顧客との期待調整。
こうしたビジネスの基礎体力は、総合コンサルでかなり鍛えられやすいです。
この経験を数年で集中的に積み、その後に事業会社へ出る。
このルートは普通にありますし、合理性もあります。
2. 自分でキャリアを編集できる人
総合コンサルで強い人は、ただ配られた案件をこなすだけではありません。
- どの案件に近づくか
- どの上司の下に行くか
- 何を実績として見せるか
- 次にどこへ出るか
をある程度自分で考えて動いています。
つまり、総合コンサルは受け身でいると流されやすい一方で、
主体的に使える人にはかなり強い踏み台になります。
3. 今すぐ特定産業に賭けるほどの確信はないが、能力は高い人
この場合、総合コンサルはかなり有力です。
ただし、その場合でも
「何年いるか」
「どういう経験を取りに行くか」
「次にどこへ行くか」
は考えた方がよいです。
何となく長居すると、看板はあるのに中身が思ったほど尖らない、ということも起こりやすいからです。
戦略系は別枠で考えた方がいい
ここは総合系と分けて考えるべきです。
戦略コンサルは、同じ「コンサル」という言葉でまとめると雑になります。
なぜかというと、戦略系は
- 新卒の入口としての希少性が高い
- ブランド力が強い
- その後の出口の幅が広い
- 中途で入る難易度が上がりやすい
からです。
総合系については
「数年後に見られるのは結局実務」
という話がかなり強く当てはまります。
もちろん戦略系でも最終的には実務で見られます。
ただ、それでも戦略系は
- 選抜性そのもの
- 入口の難しさ
- 卒業後の出口の強さ
が価値になる場面がまだ多いです。
例えば、
- 経営企画
- CEO室
- PE
- 高速成長スタートアップの企画系
- 一部の外資・ハイレベル職種
などでは、戦略系の看板は今でも効きやすいです。
そのため、
新卒で戦略系に行けるなら、総合系より「先に取っておく価値」は高い
と考えてよいと思います。
戦略系は中途だと難しいのか
基本的には、新卒より難しくなりやすいです。
中途採用自体はあります。
ただし中途で戦略系に入る場合、求められやすいのは
- 他ファームでの経験
- 事業会社での強い実績
- 特定業界での専門性
- 高い定量実績
- 海外大MBAなどの強いシグナル
といったものです。
つまり中途は、
「何者でもない人がポテンシャルだけで入る」
というより、
「すでに何かを証明した人が入る」
に近くなります。
この意味で、戦略系は新卒カードの価値が高いです。
もちろん誰にとっても戦略系が正解というわけではありません。
激務や適性の問題もあります。
ただ少なくとも、
総合系は中途でもまだ入り直せる余地が比較的大きい一方で、戦略系は新卒で取れるならその価値が高い
という整理はかなり自然です。
では結局どう考えればいいのか
新卒でコンサルに行くかどうかを考えるときは、
「コンサルか、それ以外か」
という雑な比較ではなく、次の順番で考えると整理しやすいです。
1. 自分は産業を先に決めたいのか
ある程度でも興味のある産業があるなら、最初から事業会社を見た方がいいです。
2. 自分は支援側より事業側に行きたいのか
自社事業を持つ側に行きたいなら、その方向へ早く乗る意味があります。
3. コンサルに行くなら、何を保留したくて、何を取りに行くのか
ここが曖昧なまま
「難関っぽいから」
「とりあえずよさそうだから」
で入ると、後で案件ガチャの影響を強く受けやすいです。
4. 総合系なのか、戦略系なのか
同じコンサルでも、この二つはかなり違います。
特に戦略系は、新卒カードの価値を含めて別枠で考えた方がよいです。
まとめ
新卒でコンサルに行くのは、全然悪い選択ではありません。
特に総合コンサルは、その辺の有象無象の企業より良いことが多いです。
ただし、
やりたいことがないからとりあえず行く先
として使うと、思ったより安全ではありません。
なぜなら、結局は案件にアサインされ、数年後にはその実務で見られるからです。
それなら、少しでも興味のある産業がある人は、最初から事業会社に入った方が産業レベルのガチャを減らせる場合があります。
一方で、総合コンサルは主体的に使える人にとっては強い環境ですし、
戦略系は新卒で行けるなら別枠で考える価値があります。
大事なのは、
「コンサルはすごそうだから」ではなく、自分は何を保留したくて、何を取りに行くのか
を先に考えることです。
新卒の進路で迷うのは普通です。
ただ、その迷いをそのまま会社選びに持ち込むと、後で案件ガチャに変わることがあります。
だからこそ、
何となく総合コンサル
には、一度立ち止まって考えた方がいいと思います。
